合唱の愉しみを実践する最初の試みとして平均律を捨てるところから出発しました。 まず、ピアノの調律をヴェルクマイスター第3法 に変更してみます。
電子楽器(MIDI音源)は簡単に音律を変更できます。 しかし、電子楽器自身にはマルチ音源出力に共鳴機構を 持たないためにスピーカーから音が出て部屋の中で初めて共鳴します。 ピアノのような自然の楽器では楽器自身で共鳴機構を持つのが普通ですから 共鳴を伴った音が楽器から発音されます。
電子楽器よりピアノのような自然の楽器の方が音の雰囲気がわかりやすいようです。 電子楽器は音とり練習には使えてもアンサンブル練習には不向きである。 やはり、ピアノで伴奏するしかない。そこで!!
熊音兎の2台あるピアノの1台をまず平均律から ヴェルクマイスター第3法に変更しました。 音律の変更で感じたことを日を追って記していきたいと思います。
いつもお願いしている調律師さんに無理にお願いして ヴェルクマイスター第3法に変更しました。 調律師さんも初めてヴェルクマイスター第3法に挑戦するので、 MIDI音源での音と比べながらの調律でした。 其のとき「あれ?、このA-Eは純正のはずですがビートが出ますね」、 私「え?そんなはずは.....」。 よく調べてみたら私の設定ソフトのデータが10セントも計算違いをしてました。 さすが調律師さんです。また、 調律師さん曰く「これまでの平均律のときより弦を締めているので早く狂いが出そうですね」。
女性3部合唱曲をヴェルクマイスター第3法と平均律の両方の伴奏で歌ってみる。 歌った感じでは平均律のほうが良いという意見が出たが、それらをテープに録音して 聞いてみるとヴェルクマイスター第3法のほうがよりハーモニーしていると感じる。 歌っているときの感じ方はこれまでの平均律の感覚のほうが慣れている為のように思われる。
2台目のカワイピアノもキルンベルガー第2法に調律を変更しました。
さて、調律を変更したヤマハピアノ(ヴェルクマイスター第3法)ですが、
1ヶ月程で狂いが気になってきた為、1ヶ月毎に調律を依頼。
次いで、2台目のカワイピアノもキルンベルガー第2法に調律変更。
これで平均律のピアノはなくなる。
試みとして同じ曲を2台のピアノで弾き比べてみる。おもしろい程雰囲気が違う。 又、弾き手もピアノの色合いが違うため自ずから曲の表現が違ってくるようだ。
2ヶ月程ヴェルクマイスター第3法でへ長調のものを意図的に選曲して、歌ってみる。
更に、カワイをキルンベルガー第2法に調律してからは、ト長調のものはカワイで練習。
コーラスの練習中、指導者の体調が悪いというときがあった。転調の多い曲だったので ふとピアノを変えてみる(ヴェルクマイスター第3法⇒キルンベルガー第2法) するとコーラスと伴奏が心地よく溶け合い、体調の悪い状態でも 気持ち良く聞くことができた。
第1部は『調律による雰囲気の違い』をテーマに皆さんに聴き比べてもらう。
もともとのピアノの音色の違いもあるが、それにしても、聴く人によって歴然と
違って聞こえた。もちろん、よくわからないと言う人もいたが。
特にピアノ演奏については、曲をよく知っている人、又は弾いたことがある人は、はっきり
違いがわかった。
全体的に、コーラスはキルンベルガー第2法の方が、声とピアノが混ざり易いようだ。
調律を変えて1年程経ったある日。
『其市民会館ホールでの、とあるコーラスの演奏会に
足を運ぶ機会に恵まれました。ピアノは当然平均率です。
コーラスの演奏が始まってアカペラ(無伴奏)の時に感じられたハーモニー、
そしてピアノ伴奏が入った時の違和感』
以前にもアカペラから伴奏が入った時にハーモニーががらっと変わってしまったという
経験を持ってはいましたが、調律のことをあれこれ考え試みるようになってから
このような経験をすると改めてコーラスの伴奏に平均率は合わないなと思うのでした。
人間の感覚というのは環境に順応するように出来ているのでキルンベルガー第2法や
ヴェルクマイスター第3法に変えてからはそれが当たり前のように演奏していましたが、
平均率のピアノを聴くと改めてその違いを感じるのでした。
これまで2台のピアノを別々に使い分けてきましたが、ピアノコンサートでアンサンブルを する為に2台のピアノを同じ調律にする必要があり、より用途の広い ヴェルクマイスター第3法に統一することにしました。 調律師さん曰く「平均率から変更するのに比べて、キルンベルガー第2法から ヴェルクマイスター第3法にするのはずっと無理がない」とのこと。 キルンベルガー第2法を失くすことに少々のためらいはありましたが、 ピアノ自体の音色---(もともとカワイの方は音色が深く重く、 ヤマハの方は軽く明るい)---のこともあり、今年になってからはピアノ曲だけでなく コーラスの伴奏も含めてヤマハ(ヴェルクマイスター第3法)を使うように なっていたのでキルンベルガー第2法と別れることになりました。